Wordで訴状、準備書面、報告書などを作成していると、見た目上は「第1」「1」「(1)」のような見出しが入っていても、Word上ではアウトライン設定がされていないことがあります。
この場合、ナビゲーションウィンドウに見出しが表示されなかったり、目次作成に反映されなかったり、後から文書全体の構成を確認しにくかったりします。
そこで、アウトライン設定がされていない .docx ファイルに対し、見出し階層・アウトライン番号・本文インデント・裁判所提出向けの体裁を一括で設定するbatツールを作成しました。
何をしたか
original フォルダに整形したいWordファイルを入れ、format_all_docx.bat をダブルクリックするだけで、フォルダ内の .docx を一括整形できるようにしました。
整形後のファイルは、元ファイル名に _formatted を付けた形で output フォルダに出力されます。元のWordファイルは変更しないため、整形結果を確認してから採用するかどうかを判断できます。
見出し行だけでなく、見出しに続く本文段落についても、直前の見出し階層に応じてインデントを調整します。たとえば「第1」の下の本文、「1」の下の本文、「(1)」の下の本文が、それぞれの階層に合わせて字下げされるため、文書全体の見た目も整えやすくなります。
ここが便利です
- Wordのナビゲーションウィンドウで構成を確認しやすくなる: 見出しとして認識されるため、長い書面でも全体構造を把握しやすくなります。
- 目次作成や構成整理に使いやすくなる: 後から目次を作る場合や、書面の章立てを見直す場合に扱いやすくなります。
- 本文のインデントも整えられる: 見出しではない本文行についても、直前の見出し階層に応じて字下げを調整します。
- 複数のWordファイルをまとめて処理できる:
originalフォルダに複数の.docxを入れておけば、順番に整形できます。 - 元ファイルを直接変更しない: 整形済みファイルは
outputフォルダに別ファイルとして保存されるため、元データを残したまま試せます。 - ローカル環境で完結する: Wordファイルを外部サービスにアップロードせず、PC内で処理できます。
導入方法
このツールは、WordファイルそのものをAIに読み込ませるのではなく、ローカルPC上でPythonスクリプトを実行してWordファイルを整形する仕組みです。
現在の版では、Windows環境で、Pythonと必要なライブラリが利用できることを前提にしています。配布用に整理する場合は、次のようなフォルダ構成にして使う想定です。
word-outline-batch-tool
|-- original
| `-- format_all_docx.bat
|-- output
|-- scripts
| `-- format_legal_docx.py
`-- tools
`-- japanese-legal-docx
original フォルダには、整形したいWordファイルと format_all_docx.bat を置きます。output フォルダには、整形後のWordファイルが出力されます。
なお、公開・配布する場合は、実際の事件名や当事者名を含むWordファイル、作業途中の tmp フォルダ、検討用メモなどを含めないように注意が必要です。
日々の使い方
- 整形したい
.docxファイルをoriginalフォルダに入れます。 originalフォルダ内のformat_all_docx.batをダブルクリックします。- コマンドプロンプトが開き、フォルダ内のWordファイルが順番に処理されます。
outputフォルダに_formatted.docxという名前の整形済みファイルが作成されます。- 整形済みファイルをWordで開き、アウトライン、本文インデント、全体の体裁を確認します。
Wordが一時的に作成する ~$ から始まるファイルは処理対象から除外するようにしています。
対応している見出し形式
記事執筆時点では、主に法律文書でよく使う次のような見出し形式を想定しています。
第1
1
(1)
ア
(ア)
全角・半角の違いや、見出しと本文の間のスペースの有無など、実際の書面で見られる揺れにもある程度対応するようにしています。
ただし、すべての書式を機械的に正しく判定できるわけではありません。見出しに見える文字列でも、文中で使われている場合や、独自の番号体系を使っている場合には、意図どおりに判定されない可能性があります。
注意点
- このツールは、Word文書の内容を理解して見出しを判断するAIツールではありません。一定のルールに従って、見出しらしい段落を機械的に判定して整形します。
- 本文インデントは、直前に検出された見出し階層をもとに機械的に設定します。文脈上は別階層の本文である場合や、特殊な書式を使っている場合には、手作業での調整が必要になることがあります。
- 整形結果は必ずWordで開いて確認してください。
- 裁判所提出用の体裁に完全に適合することを保証するものではありません。
- 既に複雑なスタイル設定や独自テンプレートが入っているWordファイルでは、既存の書式と競合する可能性があります。
- 現在の版では、実行環境としてPythonと関連ライブラリが必要です。PCによっては、初回実行前に環境構築が必要になる場合があります。
守秘義務との関係について
本ツールは、PC内に保存したWordファイルをローカル環境で処理します。AIサービスや外部サーバーへWordファイルをアップロードするものではありません。
そのため、事件記録や依頼者情報を含む文書についても、外部送信を避けながら整形処理を行える点にメリットがあります。
もっとも、ツールを配布・共有する場合には、サンプルファイル、出力済みファイル、作業フォルダ、ログ、メモなどに事件名・当事者名・個人情報が残っていないかを必ず確認する必要があります。
免責事項
このツールは、記事執筆時点の内容をもとにした無償配布の個人制作ツールです。動作の正確性、継続性、特定用途への適合性を含め、何ら保証するものではありません。
本ツールの利用、利用不能、整形結果の誤り、環境依存の不具合その他一切の事情により、利用者または第三者に損害が生じた場合でも、制作者は一切の責任を負わず、賠償も行いません。ご利用は自己責任でお願いします。