検証サマリー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検証日 | 2025年12月17日 |
| 使用サービス | NotebookLM |
| 入力した資料 | 法令データ(Markdownファイル) |
抱えていた課題
条文の検索や、要件の再確認などのリサーチ業務は、日常的かつ頻繁に発生しますが、e-Gov法令検索を開いて、該当の法令・条項を検索してとやっていると相応の時間を要します。 一方で、一般的な生成AIに法令の解釈や要件を尋ねると、最悪の場合は存在しない条文をでっち上げるハルシネーション(嘘の回答)が発生するリスクがあるため、AIの回答で引用されている条文そのものを確認しないと安心して回答を参考にできません。 そこで、特定の法令データのみを読み込ませ、その法令のみを根拠にした回答を、正確な条文引用付きで引き出すことができる仕組みが必要でした。
使用ツールと条件
Googleの生成AIツール「NotebookLM」を活用し、特定の法令に特化した**「法令確認Notebook」**を作成しました。作成にかかる時間は5分程度です。
実際の手順
1. 法令データの準備
AIに読み込ませるための「法令データ」を入手します。PDFよりもAIが読み取りやすい「マークダウン(Markdown)形式」を使用するのがコツです。 今回は、「法令ダウンロードアプリ(作成:takechan_lawyer先生)」を活用しました。
- URL: https://takechan-tools.github.io/hourei-download-app/
- 検索窓に必要な法令名(例:「民法」「会社法」など)を入力し、「選択した法令をダウンロード」ボタンをクリックしてファイルをダウンロードします。
2. NotebookLMの作成
- Google NotebookLM にアクセスし、「新しいノートブック」を作成します。
- 「ソースを追加」から、手順1でダウンロードしたMarkdownファイル(.mdファイル)をアップロードします。
3. 「リーガルアシスタント」へのカスタマイズ
単にデータをアップロードしただけでは、条文を元にした回答だけになってしまうため条文自体も回答させるために、以下の設定を行ってください。

上図のように、画面右上の「ノートブックを設定」ボタンをクリックします。 すると、設定画面(またはノートブックガイド)が開きます。
その中にある**「カスタマイズされた指示(システムプロンプト)」**という欄に、以下のテキストをそのままコピー&ペーストしてください。
あなたは弁護士の活動をサポートするリーガルアシスタントです。 弁護士があなたの回答を活用する上で、根拠となる条文の正確な記載が必要になるので回答の際は、必ず該当の条文を引用します。
回答例(これは民法のノートブックの場合の回答例です) 質問 公正証書遺言について、説明してください。
回答 公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)とは、民法で定められた「普通の方式」による遺言の一つで、公証人が関与して作成される遺言のことです。 具体的な作成方式や特徴は以下の通りです。
作成の方式(要件) 公正証書遺言は以下の方式に従って作成しなければなりません 条文:969条1項本文「公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。」
証人の立会い: 証人2人以上の立会いが必要です。 条文:969条1項1号「一: 証人二人以上の立会いがあること。」
遺言者による口授: 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授(口頭で伝えること)します。 条文:969条1項2号「 二: 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。」
公証人による筆記と確認: 公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させます。
署名・押印: 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押します。
公証人の署名・押印: 公証人が、その証書はこれらの方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押します。 なお、口がきけない者が遺言をする場合は、通訳人の通訳による申述や自書によって口授に代える特則があります。 条文:969条の2「口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第一項第二号の口授に代えなければならない。」
公正証書遺言の特徴(検認の不要) 通常、遺言書の保管者は相続の開始を知った後、家庭裁判所に提出して「検認」を請求する必要がありますが、公正証書による遺言についてはこの検認手続きが不要であると定められています。 条文:1004条2項「前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。」
出力結果
システムプロンプトで指示を出すことで、AIは条文の内容の要約だけではなく、「条文番号」と「条文の文言」をセットで出力するようになりました。これにより以下の効果が得られます。
- ハルシネーション(嘘の回答)の防止: ソースとしてアップロードした法令データの条文のみに基づいて回答を生成しようとするため、法的正確性と信頼性が担保されます。
- 根拠の明確化: 回答の各要素に対して使われた条文が明記されるため、そのまま書面起案の参考にしたり、条文の確認作業(裏付け取り)が極めてスムーズになります。
想定される場面
- 要件の迅速な再確認: チャット欄に「◯◯の要件を教えて」と入力し、即座に条文付きで整理された回答を得る。
- 条文間の関係性の整理: 「◯◯条と××条の関係性は?」と問いかけ、複雑な規定の構造を解きほぐす。
- 書面作成前の論点整理: 準備書面等を作成する前段階での、適用条文の網羅的なピックアップと整理。
所感
一度作成してしまえば、チャット形式で手軽に正確な条文検索や要件確認が行えるため、リサーチ業務の大幅な時短に繋がります。各弁護士が日常的に扱う法令(民法、会社法、各特別法など)ごとにノートブックを作成しておくと、強力なリーガルアシスタントとして機能するはずです。